イラストタイトル/秒速11メートルで恋に落ちた。
待ち合わせ時刻は30分前に過ぎていて、
少し背中と額には汗が滲んでいた。
全速力で走るのはさすがに人目をはばかられるから少し早めに歩いていた。
この遅刻癖はいつもどおりだが、今回の待ち合わせは少し特別だった。
一応友人ではあるが今回初めて2人で出かけることになる。
デートだったらよかったが、一応共通の目的のため。
LINEで遅れる旨は伝えていたが、返事はなかったから怒っているかもしれない。
まいったな、この遅刻癖は知らないだろうから呆れているだろうきっと。
姿が見える位置まできて、彼女がスマホをいじっているのが見える。
僕はその姿を見てこう考えた、彼女は今心底この遅刻野郎に呆れていて、
きっとGoogle検索で遅刻野郎の効果的な対処法を調べるか、
共通の友人に、あのハワイアンタイムビリーバーに時間の大事さを教えてやってくれと愚痴をこぼしていることだろう。
近くまできても気づいてなかったから、
一声かけて今ここにきたことを知らせる。
スマホを見ていた彼女の瞳が動いた。
僕の予想では振り向いた顔は少し呆れている。
スマホから離れた瞳がこちらに向きつつ同時に顔もこちらを向いた。
少し風も吹いていて、髪がすこしだけ風に流れた。